高知市における災害に強い通信の実証実験の概念図
      高知市における災害に強い通信の実証実験の概念図

2015.03.05

高知市における耐災害ICTを活用した災害に強いネットワーク技術の実証実験に参画

 

 東北大学電気通信研究機構と独立行政法人情報通信研究機構耐災害ICT研究センターは、高知県高知市にて「耐災害ICTを活用した災害に強いネットワーク技術の実証」の公開実証実験を実施しました。

 実証実験では、大規模災害時(想定)に、既存の通信手段が喪失した地域と通信手段が生き残った地域の間を臨時の無線中継器により接続して通信を確保する技術(アドホック・無線メッシュネットワーク)(注1)と災害緊急対策や住民への災害情報伝達に有効なグループ通信/一斉同報通信技術を公開しました。

 本技術では、平時に使い慣れたスマートフォンを緊急通信端末として利用することができ、耐災害性が強く、かつ低コストで運用可能な災害通信システムの実現を目指しています。

  本実験は、総務省が実施する「G空間シティ構築事業(注2)」の一プロジェクトである「G空間情報と耐災害性ICTを活用した津波減災力強化―リアルタイム津波浸水・被害予測・災害情報配信による自治体の減災力強化の実証事業(注3)」の一実施項目として実施されたものです。

(注1)災害時等に臨時に無線通信中継器を設置し、網の目状に通信回線を設定するもの。(注2)総務省が実施する「G空間シティ構築事業」 

(注3)代表機関:東北大学災害科学国際研究所 平成27年2月26日

 

1. 背景

 大災害発生時には、被災地域では商用公衆通信サービス(固定電話や携帯電話など)が大規模な輻輳、基地局倒壊、基幹回線破断などにより長時間機能を喪失する事態が想定され、救急救命活動や、住民への情報伝達の観点からも情報通信の耐災害性強化のための対策が求められています。 また、自治体等の災害時の緊急対応として、災害対応職員の安否/所在確認、緊急呼出し、緊急指令、あるいは地域住民への緊急災害情報伝達手段の確保など喫緊の課題を解決する方策が求められています。


2. 実証実験日時、場所 日時 : 平成27年3月5日(木) 午後1時から30分程度 場所 : 総合あんしんセンター(高知市丸ノ内一丁目7番45号) および高知県庁(以下、県庁)


3. 実証実験内容

 本実証実験では、背景で述べた大規模災害時の課題を解決するため、通信手段喪失地域に臨時の無線中継器(アドホック無線中継器)を設置して通信手段生存地域の基地局まで無線中継することにより通信回線を確保できることを実証しました。また、アドホック中継器で確保された通信路により、自治体の災害対応要員や一般住民が平時に身につけているスマートフォンを使って、グループ通信/一斉同報通信による安否/所在確認、緊急一斉同報指令、緊急対応会議などの機能の有効性を実証しました。

 本実証実験は、災害発生により県庁のある地域が通信手段を喪失し、総合あんしんセンターのある地域では通信手段が生存したとの想定で、両地域を臨時の通信回線で接続し、災害対策活動のための通信を行う実証実験を実施しました。 具体的には、県庁と総合あんしんセンター屋上(見通し距離約200メートル)に、各々臨時の無線中継器を設置して、県庁のある通信手段喪失地域において臨時の通信回線を確保します。この臨時の通信回線を用いて、自治体の災害対応責任者が、専用のアプリケーションを搭載した市販のスマートフォンを用いて同じ通信グループの災害対応者の安否確認/所在地確認を行い、一斉同報による緊急会議招集指令により緊急電話会議を行い迅速な災害対策活動の指示を行います。

 実証実験後には、高知県、高知市の防災担当者に参加していただき、本システムの効果、端末の操作性、改善点などについて意見交換を実施しました。

(注)通信グループの収容人数、グループ数などはシステム規模により任意に設定可能です。今回の実証実験では10名までのグループ通信を実施しました。


4. 期待される社会的効果

 本システムは、大災害時において、通信手段を喪失した地域に迅速に通信路を確保することができ、グループ通信機能等により、迅速に職員の安否、所在確認や情報共有を行うことができ、効果的・効率的な緊急災害対策活動を実施することが可能となります。 また、本システムでは、自治体災害対応職員や一般住民が平時に使い慣れているスマートフォンを使うことができ、耐災害性が強く、かつ低コストでシステム構築・運用可能な災害通信システムであるという特長があります。

ダウンロード
実証実験を報道した3月6日付けの高知新聞
150306高知新聞日刊.pdf
PDFファイル 925.3 KB